バイアグラの処方・その歴史
現在EDの治療薬として最も有名なのはバイアグラです。世界で始めての飲むだけでEDの改善ができる「夢の薬」として生まれ、あっという間に世間に普及しました。その後、後発薬も登場し、さらに利用しやすくなっています。ここではED治療薬処方の歴史を簡単にご紹介します。
もともとは別の目的で開発が始まった
1990年代前半、ファイザー社で狭心症の治療薬としてバイアグラの主要成分であるシルデナフィルの研究がなされていましたが、その結果が良いものではなく臨床試験の中止が決まります。
思いがけず、望ましい作用が見つかった
治験の終了にともなってシルデナフィル錠を回収しようとした際、治験者の多くがなかなか返そうとしなかったため担当者が理由をたずねたところ、服用時に勃起が強まる作用があることが判明します。この副作用を狭心症ではなくEDを適応症とすることで改めて開発がすすめられることになりました。
バイアグラの誕生
こうして1998年バイアグラがアメリカ国内で承認・発売されると、人間がもっとも関心を寄せる内容の一つにかかわることでもあり、ほんの数ヶ月のあいだに300万人以上に処方されるという爆発的なヒットとなりました。
日本でも大きな話題に
その時点で日本ではバイアグラの認可はまだだったため、アメリカでの事情を知って、バイアグラ個人輸入で手に入れようと行動力のある日本人が動き始めました。しかし服用上の注意を確認せず、ニトログリセリン（狭心症治療薬）服用中の男性などが、個人輸入のバイアグラとの併用で死亡する事故がいくつか発生し大きな問題となりました。
日本での承認・発売
これらの事故や、反社組織も絡むあやしい販売広告などの広がりもあって、厚労省は医薬品の安全性を速やかに図るべく異例のはやさで審査が進み、アメリカで認可された翌年の1999年には厚労省の承認が下り、ファイザー社から医師の診断・処方箋が必要な処方箋医薬品として販売されることになりました。
- 日本でのED治療薬処方
ED治療薬は医師の診察を必ず受ける必要があります。疾病の治療ではなく、いわゆる生活改善薬であるため、健康保険が適用されない自由診療扱いとなり、医療機関が診療費から調剤価格まで自由に設定することができます。1999年の発売当初は、ファイザー社の医薬情報担当者から専門知識を習得したごく一部の内科などの医師に限って取り扱われていましたが、間をおかずED治療に特化した医療機関として初めて新宿ウエストクリニックが、続いてさまざまなクリニックが現れ、早く・安く・安全に薬が手に入れられるようになりました。また、レビトラ、シアリスなどほかのED治療薬の選択肢もその後増えています。 
日本ファイザー・バイアグラ製剤写真（現ヴィアトリス社）
- 後発薬（ジェネリック）の発売
バイアグラの有効成分であるシルデナフィルに関しての特許は2014年に満了したため、同年には東和薬品から日本初の後発薬品（バイアグラ・ジェネリック）が発売され、その後10社以上から、一般成分名製剤「シルデナフィル錠（会社名）」の販売名で発売され、同様の効果と安全性で、より低価格で入手できるようになりました。 
東和
富士化学
シオノC など、後発薬製剤写真
- ED治療薬の「処方」を受けるということ
今でこそバイアグラの処方は手軽に受けられるようになりましたが、クリニックに出向くのが恥ずかしい、もっと簡単に手に入れたいという方などを標的にインターネットや個人輸入代行業者による販売が行われています。しかしそこで取り扱われているED治療薬の半数以上は偽物であり（ファイザーなど製薬会社調べ）、たとえ本物であったとしても、知識なく服用することは非常に危険で、万が一のことがあっても、医薬品副作用被害救済制度の対象とはなりません。ご自身のために専門のクリニックで「処方」を受けましょう。 
※ファイザー社による、インターネット販売バイアグラの偽造品調査
ED治療薬を扱う、患者数の多い医療機関一覧
1位 新宿ウエストクリニック (東京都新宿区)
2位 該当なし (神奈川県横浜市)
3位 丸善クリニック (愛知県名古屋市)
4位 大宮スキンクリニック (埼玉県さいたま市)
5位 心斎橋中央クリニック (大阪府大阪市)
6位 ことに・メディカル・サポート・クリニック (北海道札幌市)
7位 クリスタルメンズクリニック (宮城県仙台市)
8位 千葉クリニック (千葉県千葉市)
9位 該当なし (兵庫県神戸市)
10位 古賀医院 (福岡県福岡市)
このED治療クリニックのランキングは「都道府県別」に患者数ベースで算出しているものです。対象はED治療薬としてバイアグラ、レビトラ、シアリス、シルデナフィルの承認薬に限っています。（医薬品副作用被害救済制度が対象とならない未承認薬の処方や、医師による薬監証明を利用して医薬品を個人輸入したものを処方している可能性があるもの、即ち医療法違反の可能性がある医療機関は除いています。）※タダラフィル（シアリスのジェネリック）は処方量数の算定ができませんので対象外です。また、記載されていない都道府県分は未調査または情報不足により掲載していません。